食文化で知るドイツのクリスマス 白いおくるみに包まれたシュトーレン その意味とは?
世界の様々な祝祭日には、それぞれ特別な食文化が存在します。その食文化を知ることは、遠い国の暮らしや人々の願い、歴史や信仰への理解を深める素晴らしい機会となります。今回は、ドイツのクリスマスに欠かせない伝統的な焼き菓子、「シュトーレン」に注目してみましょう。
ドイツのクリスマスとアドベント
ドイツでは、クリスマスは一年で最も大切な時期の一つです。クリスマスの約4週間前から「アドベント」(待降節)と呼ばれる準備期間に入り、人々は静かにクリスマスを待ち望みます。街にはクリスマスマーケットが立ち並び、家庭ではアドベントカレンダーやアドベントクランツ(リース)を飾り、クリスマスを迎える準備を進めます。このアドベントの期間に、ドイツの多くの家庭で楽しまれる伝統菓子がシュトーレンです。
クリスマスを告げる伝統菓子シュトーレン
シュトーレンは、ドライフルーツやナッツがたっぷり練り込まれた、細長い形の発酵菓子です。表面にはたっぷりの粉糖がまぶされており、その見た目にはある大切な意味が込められています。
材料には、レーズン、オレンジピール、レモンピールなどのドライフルーツ、アーモンド、マジパンなどが使われ、シナモンやカルダモンといったスパイスで風味付けされることもあります。焼きあがったシュトーレンには溶かしたバターがたっぷり塗られ、その上から真っ白な粉糖がふりかけられます。
シュトーレンに込められた意味
シュトーレンの細長い形と、表面の真っ白な粉糖は、生まれたばかりのイエス・キリストが白いおくるみに包まれて寝ている姿を表していると言われています。元々はバターやミルクの使用が禁じられていたキリスト教の断食期間に食べられていたため、シンプルな材料で作られていましたが、時代とともに現在の豊かな味わいのシュトーレンになりました。
シュトーレンは、クリスマスを待ちながらアドベント期間中に少しずつスライスして食べるのが伝統的な楽しみ方です。焼いてから時間が経つにつれて生地とドライフルーツがなじみ、風味が豊かになると言われています。毎日少しずつ味わうことで、クリスマスの訪れを心待ちにする気持ちが高まります。
シュトーレンと子どもたち
シュトーレンの形に込められた意味を知ることは、ドイツのクリスマス文化やキリスト教の教えの一端に触れることになります。この物語は、子どもたちにとっても分かりやすく、異文化への興味を持つきっかけになるかもしれません。
例えば、シュトーレンの形を真似て、パンやクッキー生地で「おくるみパン」や「おくるみクッキー」を作ってみるのも楽しいでしょう。生地にドライフルーツやナッツを混ぜ込んでみたり、粉糖をまぶしたりする工程を通して、シュトーレンがどのように作られているのかを体験できます。
また、シュトーレンが少しずつ食べられる理由や、クリスマスを心待ちにする「アドベント」という期間があることを紹介することも、時間の流れや季節の行事に対する各国の感覚の違いを知る良い機会となります。「どうして毎日少しずつ食べるのかな?」「クリスマスまでの4週間、どんな気持ちで過ごすのかな?」といった問いかけから、子どもたちの考える力を引き出すこともできるでしょう。
食文化を通して広がる世界への関心
一つの食べ物には、その国の歴史、文化、信仰、そして人々の暮らしが詰まっています。ドイツのシュトーレンを通して、クリスマスという祝祭日が持つ宗教的な意味合いや、家族で過ごす大切な時間、そしてそれを彩る食文化について考えることができます。
世界の食文化に触れることは、子どもたちの世界への興味を広げ、多様な文化を理解し尊重する心を育むことにつながります。シュトーレンのように、形や味に意味が込められた食べ物は世界中にたくさんあります。ぜひ、食文化を切り口に、様々な国の祝日や文化を探求してみてください。