食文化で知る世界の祝日

インドの光の祭り ディーワーリー なぜ色とりどりのお菓子「ミタイ」を贈り合うの?

Tags: インド, ディーワーリー, 食文化, お菓子, 祝祭日

インドの秋にやってくる大きなお祭り、「ディーワーリー」は、「光の祭り」として知られています。家々をランタンやイルミネーションで飾り、美しい光で満たすこのお祭りは、邪悪なものを払い、幸運と繁栄を迎えるための大切な行事です。家族や友人、近所の人々が集まり、花火を上げたり、ランプを灯したりして盛大に祝います。

ディーワーリーには、光と同じくらい大切なものがあります。それは「食」、特にお菓子です。ディーワーリーの時期になると、インドの街中はお菓子屋さんで賑わい、家庭でも様々なお菓子が作られます。なぜ、ディーワーリーではこれほどまでにお菓子が重要なのでしょうか。

ディーワーリーに欠かせない「ミタイ」とは

ディーワーリーで主役となるお菓子は、総称して「ミタイ」と呼ばれます。ミタイには本当にたくさんの種類があり、それぞれに独特の形、色、味わいがあります。

例えば、「ラドゥ」は、豆の粉や穀物粉、セモリナなどを使い、丸くボール状に固めたお菓子です。地域によって材料や作り方が異なり、様々なラドゥが存在します。 「バルフィ」は、牛乳やコンデンスミルクを煮詰めて固め、四角形や菱形に切ったものです。ココナッツやピスタチオ、カルダモンなどで風味付けされ、表面に銀箔が飾られることもあります。 その他にも、シロップ漬けの揚げ菓子「グラブジャムン」や、カリカリとした食感の「ジェレビ」など、挙げればきりがありません。

これらのミタイは、砂糖やギー(バターオイル)、牛乳、豆類、ナッツ、ドライフルーツなどを豊富に使って作られるものが多く、どれも甘みが強いのが特徴です。色も鮮やかで、見た目にも楽しいお菓子がたくさんあります。

なぜミタイを贈り、分かち合うのか

ディーワーリーにミタイが欠かせない最大の理由は、「分かち合い」と「繁栄の象徴」です。

このお祭りの時期には、家族や親しい人々はもちろん、仕事仲間や近所の人々にもミタイを贈る習慣があります。これは、喜びや幸福、そして神様からの恩恵を皆で分かち合うという意味が込められています。ミタイの甘さは、人生の甘さ、つまり幸福や繁栄を表していると考えられています。

また、ディーワーリーは新しい会計年度の始まりと捉えられることもあり、商業を司る女神ラクシュミーをお迎えするお祭りでもあります。繁栄や富をもたらす女神への感謝と、さらなる恵みを願う気持ちを、甘く豊かなミタイに託してお供えし、その後皆でいただくのです。

家庭では、母親や祖母が中心となって数種類のミタイを手作りすることが多く、この準備の過程もまた家族の結びつきを強める大切な時間となっています。お店で買うミタイも一般的ですが、手作りのミタイには特別な愛情が込められています。

食文化にまつわるエピソードや豆知識

異文化理解へのヒント

ディーワーリーのミタイを通して、インドの人々が大切にする価値観の一つである「分かち合い」や「コミュニティとの繋がり」を感じ取ることができます。お菓子を贈る、一緒に食べるという行為が、単なる飲食を超え、人々の心を繋ぎ、幸せを共有する大切な習慣になっているのです。

子どもたちにディーワーリーを紹介する際には、たくさんの光で飾られた家の写真や、色とりどりのミタイの写真を見せることから始めてみるのも良いでしょう。そして、「どうしてこんなにたくさんお菓子を贈るのかな?」「どんな時に甘いものを食べると嬉しいかな?」といった問いかけを通して、子どもたちが自分たちの経験と比べながら、異文化の習慣について考えるきっかけを作ることもできます。

ディーワーリーのミタイは、見た目の華やかさだけでなく、そこに込められた人々の温かい気持ちや願いを知ることで、より深くその文化を理解する扉を開いてくれます。