イギリスのパンケーキ・デイ なぜパンケーキを食べるの?
世界のさまざまな祝日には、その土地ならではの食文化が深く根ざしています。今日は、イギリスで親しまれている少し変わった祝日、「パンケーキ・デイ」とその食文化についてご紹介します。
パンケーキ・デイとは?
パンケーキ・デイは、毎年日付が変わる移動祝日です。イースター(復活祭)の47日前にあたる火曜日に祝われ、「告解火曜日(Shrove Tuesday)」とも呼ばれます。キリスト教の暦では、この日の翌日から「四旬節(Lent)」と呼ばれる期間が始まります。
四旬節は、イースター前の約40日間、イエス・キリストが荒野で断食した故事に倣い、節制や断食を行う期間とされています。かつては卵、牛乳、バター、砂糖といった豊かな食材を断つ習慣がありました。
なぜパンケーキを食べるのでしょうか?
パンケーキ・デイにパンケーキを食べる習慣は、この四旬節の準備と関係があります。四旬節が始まる前に、家庭にある豊かな食材、特に卵、牛乳、バターを使い切るためにパンケーキが作られるようになったのです。混ぜて焼くだけという手軽さも、多くの家庭で根付いた理由の一つかもしれません。
イギリスの伝統的なパンケーキは、日本のホットケーキのように厚みがあるものとは少し異なり、薄いクレープのような形をしています。これをレモン汁と砂糖をかけて食べるのが定番ですが、最近ではさまざまなトッピングで楽しまれています。
食文化にまつわるユニークな風習
パンケーキ・デイには、食に関連した面白い風習があります。その一つが「パンケーキ・レース」です。これは、焼いたパンケーキの入ったフライパンを持って走り、パンケーキをひっくり返しながらゴールを目指すというユニークな競技です。特に、バッキンガムシャー州のオルニーという町で行われるレースは有名で、中世から続いているという言い伝えもあります。女性が教会の鐘を聞いて、焼きかけのパンケーキを持ったまま慌てて駆け出したことが始まりと言われています。
パンケーキ・デイの食文化から異文化を学ぶヒント
パンケーキ・デイは、一つのシンプルな食べ物が、宗教的な習慣や人々の暮らしと深く結びついていることを教えてくれます。このお祭りを通して、子どもたちと世界の文化について考えることができます。
- 身近な食材で体験: パンケーキの材料は卵、小麦粉、牛乳など、日本の家庭にもあるものばかりです。実際に一緒にパンケーキを作ってみることで、子どもたちはイギリスの文化を身近に感じられるでしょう。レモン汁と砂糖でシンプルに味わってみるのも良いかもしれません。
- なぜ?を考える: 「どうしてこの日にパンケーキを食べるのかな?」「四旬節って何だろう?」など、背景にある理由を一緒に調べてみることで、歴史や宗教、世界の暦について学ぶきっかけになります。
- 世界の「使い切り」料理: 四旬節の前に豊かな食材を使い切るという習慣は、他の文化や行事にも似たものがないか考えてみるのも面白いでしょう。たとえば、日本の節分に恵方巻きを食べるのも、その時期に食べる特別な食べ物ですね。
- 食と遊びのつながり: パンケーキ・レースのように、食べ物を使った遊びや競技があることも、文化の多様性を知る良い例です。「もし自分たちでパンケーキ・レースをするなら、どんなルールにする?」など、想像力を膨らませてみるのも楽しいでしょう。
まとめ
イギリスのパンケーキ・デイは、キリスト教の四旬節という宗教的な背景と、身近な食べ物であるパンケーキ、そしてユニークなレースの風習が結びついた祝日です。特別な日に特別な食べ物を食べるという習慣は、世界中の文化に見られます。パンケーキ・デイの食文化を通して、異文化への関心を深め、世界の多様性について考える機会としてみてください。